あいさつ


photograph SAITO Sadamu



「雨引は2年に一度ですよね?」と毎回展覧会においで下さっている方々から尋ねられることが度々あります。継続するには力が必要です。地域や、何度も作品に触れ、足を運んで下さる人々の理解も大きな後押しとなります。しかし、この問いに少々の違和を感じ「そのように決まっているわけではないのですよ・・」と、「すべて作家の自主的な行いであること。主催者である雨引の里と彫刻実行委員会とは公的機関や企画者で構成されているのではなく、出品者のすべてが自律した個として責任を負い集っていること。この実行委員会は展覧会ごとに立ち上げられ、会期後解散すること。開催の意志も、会場地域や会期の設定、会にかかわるすべての決定と実労を伴うすべての運営を実行委員である参加作家が行うこと。」など長々とした説明を始めてしまいます。
「雨引の里と彫刻2008」は7回目というよりは7度目の展覧会というのが正しいかもしれません。何事も回を重ねると当初の理想を失い形骸化することが常ですが、10数年経った今、どの「雨引の里と彫刻展」も同じ一つの、ものをつくること、美術を信じる道につながっていると感じます。前回があったから今回があるという意識はいつも参加者にあります。作り手としての姿勢が誠実であればあるほど、見落としてしまいそうな、些細でこぼれ落ちそうで大切な事柄に気づき、それを丁寧にすくいとることができるのだと思います。それらは次の新しい作品に反映されてゆき、展覧会として現れています。
今回、「第23回国民文化祭・いばらき2008」事業の一つとして行われています。一度は固辞しました。行政事業の一環となることで主体性が損なわれるのでは、との意見からでした。翻し参加すると決定するまでに数ヶ月に渡り議論が交わされました。長年協力を受けた地元桜川市からの要請であるということも重く受け止めた結論です。じんわりと染込むような「雨引の里と彫刻」の有り様への自信の現れです。もちろん慢心に進むべき道がないのは重々承知の上です。
「雨引は2年に一度ですよね?」
「まだ、何も決まっていないんですよ・・」

2008年11月9日
雨引の里と彫刻 実行委員会
井上雅之