風の栞・土の眷属

本小松石・合成ゴム・鉄・木・植物の種子・古書紙片
180×300×360 (h)cm

 鹿島神社の東の畑、縄文・弥生の土器片が出土する段丘の崖縁に立つと、人と自然が織りあげた里山の風景が広がる。目前の桜川両岸から広がる葭原と、遠く山々に霞む耕作地を見渡すこの場所に、遙か昔の人達は何を見たのだろうか。
 私は、楕円形のリング構造の内部を植物の種子と「常陸国風土記」写本の紙片を詰め込み、麦畑の突端に、石の重さだけで捧げ揚げた。簡素な造形と場を結び、土地に隠れているアニマティズム的生命力や不可知の力を呼び覚ましたい。