大和村、雨引の里は都心からおよそ100km圏にありながら、驚く程豊かな自然や、田園風景が残されて、筑波神社、加波山神社、雨引観音をはじめとした数多くの歴史的、文化的な建造物も訪れる事ができる、この地域に広がる穀倉地帯、ここの山々より産する御影石に基盤を置いた石材産業は全国有数であり、近くには学究の園、筑波学園都市を山すそのつながりとしてもつ。
この地域を都市化の波からさえぎり、この地域のもつ豊かな自然、そして関東平野を前にした山際安息空間を生かした地方性・地域性を重視した地域の文化・物の考え方を育む事が今切実に求められているのだと思う。今までの日本の考え方は段階的であり、単色モノカラーである。つまり、何々が手に入ったからその上のことをする、ある社会現象が起きるとテレビ・新聞をはじめとするすべてのジャーナリズムでとりあげその色でぬりつぶす。そしてある時期が過ぎると問題が解決されなくとも次の問題にうつる。文化においても東京中心主義であり、地方性というものを極力排しようとしてきたし、また、地方文化を担う人々も、東京指向であったように思う。
これからの時代は、同時多発であり、多色の時代・地方、地域の時代である。同時多発的に様々な地方において、その地域に根ざした特徴のある文化の発生の必然性が問われている。 我々はこの都心に近く、かつ多くの田園・自然を残している大和村・雨引の里における山際、安息空間に地域文化を育成する一助として現代彫刻を一定期間展示する展覧会を企画した。
雨引の里と彫刻 実行委員会