• あいさつ

    photograph SAITO Sadamu


    「雨引の里と彫刻」は茨城県桜川市の旧大和村の里山や集落を舞台に、初回の1996年から作家が主催となり、地元の協力を得ながら運営してきた展覧会です。7人の石彫家により始まったこの展覧会も今や大所帯となり、毎月の全体会議では設置場所、コースの設定、その他諸々にいたるまで参加作家全員で話し合われ、一丸となって展覧会は周到に準備されます。
     前回展「雨引の里と彫刻2011」では、箔~のさなかに狽ニ題し、凛とした冷たい空気と彩度を落とした真冬の風景の中の展覧会を試みました。雪景色のスタートは真冬の開催にふさわしく、充実した作品の並ぶ展覧会ではありましたが、会期終了直前に東日本大震災のため展覧会は止むなく閉鎖。農業、石材産業を主とするこの地域にも震災の被害は及びました。幸い全42点の作品の倒壊はなく、この展覧会における作品の安全管理の高さを示しましたが、参加作家にとっては最後までやり遂げられなかった悔しさが残りました。
     さて、9回目の開催となった今回は、9月から11月にかけての2ヵ月間、秋の里山や集落の中に、参加作家38名の彫刻作品が設置されました。秋の爽やかな風や里山の美しさを体感しながら点在する作品群をオリエンテーリングのように巡る楽しさは、まさにこの展覧会の醍醐味です。リピーターの方々も多く、作家の解説付きのバスツアーも初日から予約が殺到する盛況ぶりでした。震災後の初めての展覧会として作品の安全性はもとより、地域との関わりも再検討しながら、準備を進めてきた展覧会です。ご高覧いただきました皆様へ、そしてご協力いただきました皆様へ、参加作家一同、心より感謝致します。

    2013年12月
    雨引の里と彫刻 2013 実行委員会


  • 自転車で回って。

     今回の展覧会が開催される時期が決定し、作品の設置されるエリアを下見のために訪れたのは、ちょうど1年前のこの時期であった。田んぼには、稲刈り間近の稲穂がたわわに実り、早いところではもう刈り入れが始まっていた。会期はおよそ3ヶ月の長期に渡るため、始まりと終わりの時期では、彫刻を取り巻く風景が一変してしまう。だから作家は、夏のムンムンとする新緑が残る季節から、冬の到来を感じさせる晩秋の頃までを見通さなくてはならない。そして、他の作家とぶつからないように気を配りながら(いや、邪魔されないように、と言った方がいいかも知れない)、これから作る作品に最もふさわしい場所を求めて、あるいは場所からのインスピレーションを感じるために、半年に渡って足しげくこの地を訪れる。
     しかしながら、その時点で、誰がどのような作品を持ち込んでくるのかは全くわからないから、自分の作品と全体との関わりを意識してはいない。ちょうど各々の個展会場を見るようなイメージで、設置場所を選んでいく。ところがどうだろう。いざ展覧会が始まってみると、個々人の個性が見事に、このエリア全体を生き物の細胞さながらに機能させ、結実した生命体のように演出しているではないか。「モノ作り」は得てして、他との協調性に乏しい人種と見られがちだが、いやいやどうして、力を合わせて発表することにより、個人にも全体にも良い結果が生まれることに、改めて感動した。
     参加作家である私は、「モノ作り」の一人ではあるものの、美術・芸術に見識が深いわけではない。正直なところ、理解に苦しむ作品に出会うこともしばしばである。例えば、裸体像を見る。作品の題名は「女」。大変安心する。意味のあるものは、人を安心へと導くからだ。しかし、それで本当に「解かった」と言えるのだろうか。意図がわかってしまうと面白くなくなることが多々あることも、事実だ。
     スタート地点であるシトラスには、作家の一言が記されたチラシが地図と共に用意されている。文章では表現しきれない思いを短いポエムに託したものから、端的に事実を記したものまで多様である。これらを作品と照らし合わせながら、回ってみるのも面白い。
    作品に紛れて、道すがら放置されているコンクリートの塊や鉄屑、倒れかけた道標に意味はない。迂闊にもそれらに目を奪われ、あれ!これ誰の作品?いいじゃない!!と思ってしまうことがある。これらも含めて作品と見るのもまた、この展覧会の意外な楽しみ方かも知れない。
     私が最初にこの展覧会に参加したのは、1997年に開催された第2回展の時である。それ以降毎回、一貫して作品の搬入・搬出に関わる役目を担わせていただいている。今回も搬入時期の2週間に渡り、自前の4トンユニック車を起動し、各作家の設置場所をぐるぐると走り回った。すでに見知ったルートではあるが、この文章を書くにあたり、新たな目線で展覧会全体を見渡そうと思い立ち、自転車を走らせた。自転車は徒歩と車の中間的な速度であるため、作品間を移動する間にも、小さな変化や見過ごしていたものに気がつく。私は小学生の頃、毎日8キロの道のりを歩いて登下校した。あたりにはちょうど、今回の会場のようなシチュエーションが広がっていた。その道すがら、畑に取り残された巨石や放置されたままの廃車の山、鉄製の何かの部品等が、まるで自然の山川と共存しているように見えたことを今でも記憶している。私が彫刻を作る上での礎は、この幼い頃に見た「理解がつかないもの」によるところが大きいと思われる。
     参加作家の大多数は、年齢・キャリアは様々であるものの、彫刻を生業としたいわゆるプロである。試行錯誤して現在に至った作品を、一目見て的確に分析し、理解するのは霊能者でも難しい。いや、ひょっとして作家本人も、完全には理解していないのかも知れない。それならばどうして、他人が理解できようか。理解ではなく、不思議なものを知識で結論づけずに、不思議なまま放置することこそが、正しい彫刻の見方なのかも知れない。
     最後に、遠方よりわざわざ足を運んでいただいた方々、様々な面でこの展覧会を支えてくださった地域の方々に、深く御礼申し上げたい。特に、土地を提供してくださった地権者の方々は、空間を共有するという意味において、作品を展示する作家と近い立場にあり、我々一同、感謝の念に絶えない。この「雨引の里と彫刻」は、飽和状態にある美術シーンに、発表する「場」のセクションとしても新しい可能性をもたらすと感じている。

    参加作家 松田文平


  • 私は書記係

    「雨引の里と彫刻」が市や町の主催ではなく、作家の自主運営による展覧会であることは広く知られるようになりました。参加作家が実行委員となり、各係として実務を担うのです。私の担当は書記係。毎月の会議の時に、議事内容を記録して議事録を作成する係です。「毎回大変だね」とよく言われますが、実は書記の仕事は結構面白い。議論が白熱すると早口になることも多いので書き留めるのは大変ですが、発言内容はもちろん言葉の選び方や声のトーン等、各作家の持ち味が出ていて興味深い。理路整然とはっきり意見を述べる人、迷いながらも一生懸命言葉を探す人、その様子は各々の作品につながります。
     会議翌日には、内容を整理して議事録を作成します。全体会議では全員が納得いくまで話し合うことを大切にしているので、決定事項だけでなく、各々の立場を偏りなく記すよう努力していますが、自己主張の強い作家が毎回40名前後参加しているのですから、その議事録をまとめるのは、なかなか骨の折れる作業です。ですが、こうした作業に毎回取り組むことで、雨引の抱える問題やそれに対する各作家の考え方等、雨引の現在を客観的に捉えることができます。私にとっても自分と雨引との関わりを問い直す、ひいては美術や彫刻について考えを深める良い時間となるのです。
     書記の他にも、カタログ係・サイン係・懇親会係等々、係の仕事は多岐にわたり、参加作家は各々の仕事に責任を持つ。今では「雨引方式」と呼ばれることもありますが、最初から今のスタイルができていたわけではありません。第3回展から参加していますが、当時も「作家自らが運営する展覧会」という大前提はあったものの、全員が係を分担していたわけではなかったし、一部作家に仕事が集中し問題となったこともありました。また次第に参加人数が増えたことで、実務の大変さは増す一方、展覧会への関わり方に温度差が生まれる等、様々な問題が生じてきました。今の方式は、こうした問題を乗り越えて、自分たちの展覧会だという自覚を高めるための、試行錯誤の結果なのです。もちろん今の方式が完成形ではなく、今後も改善されていくであろうことは言うまでもありません。
     さて、「雨引の里と彫刻2013」が開幕しました。すでに多くのお客様を迎え、秋空の下、里山の風景と作品展示をご覧頂いています。展覧会開催中は書記係の仕事もひと休み・・・というわけにはいきません。会期中も何かと起きるわけで、必要があれば全体会議を開いて協議し、書記は記録を取る。この地道な作業が次の展覧会に活かされることを願っています。

    参加作家 山上れい


  • 作家のひとこと

    雨引の里と彫刻 2013 に参加した各作家の作品に対する思いや、制作に関して日頃考えている事、 雨引の里と彫刻に参加して感じた事など、それぞれの気持ちを綴った作家の一言です。



    國安孝昌 / 雨引く里の竜神2013
    丸太、陶ブロック、単管
    心静かに雨引の里を巡って歩くと、風景のどこそこに地霊というべき聖なる空間を感じ見つけ出すことが出来る。2013 のこの場も私には雨引く精霊を感じる特別な場所である。場と私の制作が、願わくばひとつになって見えれば幸いである。


    山上れい / Triangulated Flower
    ステンレススチール
    この池は第5回展でも作品が設置された。久しぶりに訪れると、水面は蓮で覆われ、景色はずいぶん変化していた。夏、蓮は天に向かって花を咲かせる。薄桃色の美しい花は清らかな光を放ち、この場を包む空気に輝きを与えていた。秋、もう一度この池に花を咲かせたい。


    菅原二郎 / 内側のかたち-13PLS
    石灰石
    今回使った石は大理石よりもやわらかい素材のため、形をなるべく大きくとり、本来は細くしぼるべきところも素材の持つ強度とのかねあいの中、自分が感じる可能と思われるところまでとし、内側の曲面が持つ柔らかさの表現を重視した。


    宮澤泉 / 夏空
    花崗岩
    蝉が鳴いている。私は手にノミとハンマーを持ち石を彫る。
    ただひたすらに石を彫る。


    戸田裕介 / 水土の門/天地を巡るもの
    鉄、塗料、洋箔( 真鍮)、金箔
    「水土(すいど)」とは、 近世まで、「自然環境」や「風土」などと同意義で使われた言葉ですが、ここでは「水」と「土」の意味です。水循環、物質循環、私たちを取り巻く世界では、様々なものがゆったりと、あるいは猛スピードで絶えず巡り続けています。


    和田政幸 / しゃもじ

    薄い鉄板で箱を作っています。今回は試行錯誤の結果、下の楕円は1.6mm 厚、上の楔状の棒は1.2mm 厚で作りました。見晴らしの良い場所を選びました。


    佐藤晃 / Surface – 表層
    花崗岩
    なだらかに傾斜する丘から広がる田圃の緑は川面の様に揺れていた。流れの岸に連なる風を孕んだ森や竹林はまるで流動体の様であった。私はここに留まり呼応できる形を造りたいと思った。



    塩谷良太 / 具合
    陶、鉄線、シュロ縄、他
    春先から草木が伸び行くのといっしょに粘土をつなげていった。草木は人々の記憶に重なりながらのびやかに成長し、期待どおりに季節を運ぶ。粘土は私の漠然とした予感と共に姿を変え、移り行く季節の中にしばし留まる。


    松田文平 / 垂直と非垂直
    黒御影石
    振り下げた重りが地球の核に向かう軌道を絶対垂直線と定義し、変化する面に対してのそれを相対垂直線と定義した、基準になる物によってその絶対と相対は入れ替わる可能性が有り何とも不確定で有ります。


    鈴木典生 / GLOBE -番人-
    白花崗岩
    一度この大地から切り離されたこの石は、長い間時空を彷徨っていました。やがて強い意志を宿し、この地に舞い降ります。その姿は38 個の球体から成る守り人になりました。


    志賀政夫 / 風の色をみんなで眺める

    ちょっとイスに腰を下ろし、風の色を眺めてみましょう。
    昔の記憶がよみがえります。
    木の葉のささやきが周りをおおいます。
    風の色が通り過ぎるでしょう。


    山﨑隆 / Welcome
    白御影石
    石を彫りすすめて作品の形が見えてきたとき、
    自然とその作品の題名が浮かんできた。ウェルカム。


    中村洋子 / 「蒼い空、薄雲よ。ひゅうら、ひゅうら、ツテン、テン。」
    ステンレスメッシュ
    こんもりした林。ひっそりとした木の幹に立ちはだかる蜘蛛。そし
    て寄り添うように聴こえてくる、やしこばばの唄が。
    「杢さん、これ、何?……」と小児が訊くと、真赤な鼻の頭を撫で
    て、「綺麗な衣服だよう。」           泉鏡花『茸の舞姫』


    大栗克博 / 俺の不知火型2013
    灰色花崗岩
    邪気を払い地を鎮める謂れのある横綱土俵入りを2013 年は二人の横綱がそろって不知火型でつとめている。これは大相撲史上初とのこと。両腕を左右いっぱいに伸ばしてせり上がる豪快さが特徴の不知火型、この思いをこの地とこの機に。


    山本憲一 / 剪定季の風
    ピンク御影石
    剪定するをテーマに近年制作してきております。今回の作品では石を大きくくりぬき内側にすり込まれた割石の稜線と景観がどの様になるかと言う作品です。それと同時にこの場所に新緑の風が吹き込む願いも込めております。


    齋藤徹 / 天壌2013
    木、鉛、アクリル塗料
    素材の持つ良いところを全て捨ててしまうような行為に、少しばかり疑問を持ちながらも続けてしまう。不毛な時間の連続で日々が刻まれて行く、こうやって数ヶ月過ごしてしまいました。


    中井川由季 / あいまいな接合 木立の下に

    「あいまいな接合」と名付けた作品を、形や大きさを微妙に変えながら昨年より作り足しています。一つ一つ似ているけれど違う形がゆるやかにつなぎ合わせてあり、その場所に合わせて自在に変えられるという作品です。今回は木立の下に百個ほどを.いで置きます。



    小日向千秋 / 二重奏
    漆、鉄線、他
    風の中を舞い降りてきた二つの音色が、ひとときの居場所を見つけました。


    高梨裕理 / 深い水II

    林の中に入ってみる。木に出会う。そして見上げる。


    齋藤さだむ / 不在の光景part II
    写真
    サリン( ざりがに) が死んだとき、娘は涙を抱えながら墓を造ったブラッキー( 男猫) はある事件の後からは僕を信頼し続けてくれたグレ( 女猫) は死んだ子猫を取り上げてから、僕を終始嫌ったジジ( 雄犬) は、妻がみとる中、壮絶な最後を遂げた。


    平井一嘉 / サイセイキ
    黒、赤、白御影石
    手持ちの石と薬師堂前と自分との思いを巡らして、語呂合わせではあるが1 つは石臼を華と見立てて上から8-9-4( 薬師) 題名はサイセイキ( 再生機) ( 祭生機) ( 最盛期) ( 最性器) この地の変遷と個々の想いが廻るか体感してみたい。


    海崎三郎 / 点在II

    その小さく硬化した美しさに昔は気がつきもしなかった。


    サトル・タカダ / 再生
    ステンレス鋼、鉄骨、ウインチ、ワイヤー
    卵の形体を生命の象徴として表現しました。池の中に設置したのは生命の源でもあり水面の光と割れ始めた卵が再生された“ 何か” が興味を見る人達に持たれる事でしょう。構造美とこの環境が彫刻の意味を深いものになれば良いと思います。


    大島由起子 / たなごころ
    黒御影石
    神社のひっそりと落ち着いたこの空間に作品を潜ませたいと思った。少し、じっくりとゆるやかにこの様な場所で流れ続ける時間をみつめていたいという意識を憶えた。


    栗原優子 / 閃光、瞬間落下
    伊達冠石
    遠くの雷鳴。
    のちに、閃光。
    夜を一瞬で朝に変え、かたちないものを突き刺して消えた。
    朝は静かに夜へと戻ったが、刺さったなにかは消えなかった。


    大槻孝之 / 行く雲

    学生の頃の記憶ですが、足が泥の中に埋まって身動きが取れないけれど雲は行く、という万葉集の歌がありました。その人と雲との関係が美しく思え、それだけ覚えていました。私もこの里山の雲にその千年の気持ちを乗せてみたいと思いました。


    渡辺治美 / Root (carrot)
    御影石、真鍮
    一見するとロケットに見える物体は地球から宇宙に伸びる“ 逆さの人参” である。その存在は無重力の空間において正常と言える。見方を替えれば“ 逆も真なり” とも言える。地に根を張り栄養たっぷりに育った根菜を、命を繋ぐエネルギー源と例え表現している。


    岡本敦生 / 風になろうとしている
    白御影石
    以前展示した場所です。荒廃が進み、今や人の痕跡さえも消え去ろうとしています。一つの作品プランがあって敢えてこの場所を選んだのですが、道半ばにして長期入院せざるを得なくなりました・・・。


    西成田洋子 / 記憶の領域2013 里に棲む
    ミクストメディア
    深海にまだ見ぬ生物がいるように、私たちを取り囲む緑にも息を潜めて存在するものがあるかもしれない。


    藤島明範 / 分割された石1309-関係II
    稲田石
    二つに分割された石。 分けられた石どうしの関係。この関係を杉・檜の屋敷林の東端に置く。
    この屋敷林と道に沿って「大池」と田んぼが広がる前方の広大な空間に、 私の石はどのような「関係」を結ぶことができるか。


    井上雅之 / A-135
    陶、鉄
    押し潰されそうな真っ青な気圧の底に、小さく古い木造の蔵がありました。佇まいに惹かれ、ふわふわとした感触、手を離すとゆっくりと膨らみ、 もとに戻る緩い弾力を持った「形」を添えたいと思いました。しかし、しっかりと逞しく傍らに居合わせるように。


    サクサベウシオ / 吊るされた石と鉄2013
    自然石、鉄板、鉄パイプ、ステンレスワイヤー、鉄筋
    日常生活の中で重い物といえば石や鉄を思いつくが、その石や鉄は地表にあって安定している物である。しかしそれらをひとたび吊るすか支えるかして空中に浮かせることよって、重力という自然の法則をビジュアルにそして美的に認識させたいのである。


    山添潤 / 残像 -depth-
    砂岩
    森は揺れ動く大きな塊として僕の前にある。大地から切断された石が抱え込む記憶、そして僕が拘わったほんのわずかな時間が森の中で溶け合いひとつになって流れてゆく。様々なものが交錯する森が残す残像は如何なるものであろうか。


    廣瀬光 / 凸と凹の形
    白御影石
    無限に繋がる形のひとつを取り出し、不要なところをできる限り削り落とす、ひとつの大きな結晶のような塊をつくりたい。


    佐藤比南子 / Tension. 風を包む2
    羊毛、ゴム紐、ピン
    目に見えないものを包みたい。前回の展示(2011年3 月) の最中に地震があり、その後次々と起きたことの恐怖は今も尾を引いている。私はこの地で再び作品が創れる喜びを感じながら、この場所に流れる時間を包んでみたいと思っている。


    島田忠幸 / 娑婆
    アルミニウム
    生物のようであり、または未確認飛行物体か薄気味悪い、そんな情況を型値として表したかった。
    なんだかこの時代、予期せぬことが日常になったりする、怖さを感じる。


    金沢健一 / 垂直線上の刻

    数本の木に囲まれたこのひっそりとした場所を選んだのだが、この空間が何を欲しているか、読み解けないもどかしさがあった。おぼろげながらに場の中心点のような所を見つけた時に、時を刻むようにスリットを入れた鉄の角管を垂直に立ててみようと考えた。


    村井進吾 / 黒体-13B
    黒御影石
    手入れの行き届いたこの小さな竹林に、異物を持ち込むと決めた時 からあるためらいは今も続いている。


  • 雨引の里と彫刻2013ドキュメント

    雨引の里と彫刻 2013 ドキュメント

    2012/03/18
    第1回企画準備会
    *7名のメンバーが呼びかけ人となり企画準備会を立上げ、開催についての意思確認と作品設置の安全性について意見交換

    2012/04/15
    第2回企画準備会
    *桜川市の担当の生涯学習課について報告 *会期と設置エリアとプレ展について検討 *新作家の参加について予定を確認

    2012/05/20
    第3回企画準備会
    *会期を決定 *設置エリアについて討議し、候補地を下見 *プレ展について意見交換 *新作家の推薦方法について討議、決定

    2012/06/24
    第1回準備会
    *新作家の推薦 *設置エリアについて再度討議

    2012/07/29
    第2回準備会
    *新作家の承認 *会場ルート案を視察し、設置エリア決定 *議事録の扱いについて確認

    2012/08/26
    第3回準備会
    *自己紹介 *実行委員長、各係の決定 *現在の会計の状況について報告と説明 *参加費の金額を決定 *設置エリアを見学

    2012/09/23
    第1回全体会議
    *実行委員会発足 *展覧会名とサブタイトル、ポスター・チラシのデザインについて討議 *スケジュールについて確認 *助成金、会計、会場管理、プレ展、保険など各係からの報告と説明

    2012/10/28
    第2回全体会議
    *展覧会名称を「雨引の里と彫刻2013」に決定し、サブタイトルについて意見交換 *デザイナーを決定 *設置希望場所調査票を配付 *各種助成金について報告 *プレ展、懇親会、ホームページ、受付など各係から報告と説明

    2012/11/18
    第3回全体会議
    *サブタイトルを再度討議 *搬入出時の警備を検討 *受付、バスツアー、助成金、懇親会、プレ展、会場、各係からの報告と説明

    2012/12/16
    第4回全体会議
    *桜川市との確認事項について報告 *サブタイトルは付けないことを決定 *作品設置の安全について討議 *設置希望場所調査票を提出 *助成金、プレ展、懇親会、ボランティア、会計等、各係から報告と説明

    2013/01/20
    第5回全体会議
    *桜川市との面談内容の報告 *印刷物の記載内容について討議 *ボランティア、プレ展、会計など、各係からの報告と説明

    2013/02/24
    第6回全体会議
    *桜川市の助成金申請の報告 *作品設置希望場所の可否の報告 *プレ展の内容について討議 *各係概算予算について報告 *オープニングセレモニー開催について検討 *ボランティア、懇親会、助成金、バスツアーなど、各係から報告と説明 *ボランティアによる催し「大和撫子庵」の提案を受けた

    2013/03/31
    第7回全体会議
    *作品設置場所の環境整備や、撤去後の原状復帰について確認 *市報、広報、助成金、サインなど、各係から報告と説明

    2013/04/21
    第8回全体会議
    *桜川市の新担当者紹介、マイクロバス・オープニング会場使用について説明を受けた *オープニングセレモニー・パーティについてプラン提示 *プレ展(インフォメーション展)の内容を検討 *会場ルート案を提示 *ポスター・チラシの記載内容報告 *バスツアー、ボランティア、自転車、市報、保険各係から報告と説明

    2013/05/19
    第9回全体会議
    *会場ルート案を全員で回り、問題個所を修正 *オープニング会場の上野沼やすらぎの里キャンプ場を全員で下見 *市の新担当者紹介と協力内容の説明を受けた *ポスター・チラシ、広報、会計、ボランティア、事務局の各係から報告と説明

    2013/06/23
    第10回全体会議
    *会場内のトイレ・駐車場について確認 *「大和撫子庵」「手打そば大好き会」について提案を受けた *桜川市からイベント・ワークショップ開催についての提案を受けた *住所録の更新について *バスツアー、懇親会、受付、自転車、コメント、会計、の各係から報告と説明 *ポスター・チラシの原稿データを確認

    2013/07/14
    第11回全体会議
    *桜川未来塾の協力について説明を受けた *ポスター・チラシの内容修正、印刷部数の確認 *ワークショップについて討議 *印刷物発送先の整理 *懇親会、バスツアー、市報、サイン、キャプション、搬入出、会計、受付、自転車など、各係から報告と説明

    2013/08/11
    第12回全体会議
    *印刷物(ポスター、チラシ等)の発送準備作業 *ワークショップについて、講師作家から内容の説明 *作品、及び搬入出作業時の安全管理について注意 *保険、ボランティア、受付、懇親会、搬入出、サイン、キャプション、市報の各係から報告と説明

    2013/09/08-21
    *作品搬入開始 *重機による作品設置 (09/17) *サインの設置、インフォメーションセンター設営 (09/21)

    2013/09/12
    -11/24
    *インフォメーションのための歴代ポスターとカタログ、及び小作品数点を展示(真壁伝承館)

    2013/09/22
    「雨引の里と彫刻2013」開幕
    *15:30- オープニングセレモニー・パーティ(上野沼やすらぎの里キャンプ場)

    2013/10/06
    第13回全体会議 第1回バスツアー
    *会場内の問題について対応策を検討 *カタログ・コメント、助成金、市報、ホームページ、バスツアー、各係から報告と説明 *ボランティアグループ「大和撫子庵」「桜川未来塾」による休憩所開設

    2013/11/03
    第14回全体会議 第2回バスツアー
    *クロージングパーティについて討議 *カタログ、会計、サイン、ボランティア、搬出の各係から報告と説明 *フォトコンテストについて桜川未来塾から説明

    2013/11/23
    *フォトコンテスト授賞式

    2013/11/24
    「雨引の里と彫刻2013」閉幕
    第15回全体会議
    *カタログの編集・校正

    2013/11/25-
    *会場の撤去 *作品の撤去開始

    2014/1
    第16回全体会議
    *カタログの発送準備 *カタログ発送等を予定

    ■雨引の里と彫刻2013のあらまし
    2012年3月に雨引の里と彫刻展の企画準備会を集会して、次回展開催の是非や、開催する場合の形式、参加作家のメンバー構成等々について協議し、「雨引の里と彫刻 2013」の開催を決定した。
    2012年9月に「雨引の里と彫刻 2013」へ向けての新たな実行委員会を組織し、参加作家全員が実行委員会委員として、展覧会開催に向けての様々な作業を分担した。実行委員会の全体会議は一ヶ月に平均1回のペースで開催し、各係からの報告を受けながら、事案を協議し決定していった。
    2013年9月22日、「雨引の里と彫刻 2013」をオープンし、期間中にバスツアー等のイベントも開催しながら、2013年11月24日に同展を終了した。

    ■実行委員会構成:
    38作家

    ■実行委員会・係の構成:
    実行委員長/副委員長/事務局/会計/会計監査/司会/書記/広報/助成金/プレス/ホームページ/サインキャプション設置計画/ポスターチラシ図録/会場/市報/バスツアー/搬入出/受付/インフォメーションセンター設営/英訳/オープニング/ボランティア/会場管理/懇親会/プレ展/貸自転車
    以上のような作業分担のもとで、「雨引の里と彫刻 2013」は開催された。