• 実行委員会からのごあいさつ

    「雨引の里と彫刻2015 –りんりんロード」展を桜川市の市制10周年を 迎えたこの時期に、桜川市と共催のもとに開催できたことを参加作家 一同大変喜ばしく思っています。 ここに至るまで、市や県の担当者をはじめ多くの方々のご協力をいた だきました。ありがとうございました。 桜川市は、旧真壁町・大和村・岩瀬町が2005年10月に合併して誕生 しました。私達はこの記念する時期に、初めての試みとして真壁-大和 -岩瀬をつなぐりんりんロードで雨引展を開催しようと討議を重ね今 日に至りました。 今までの「雨引の里と彫刻」展では旧大和村地区で展覧会を開催す るエリアを決め、そのエリアの中で各作家が作品を置きたい場所を探 し、その後役所の方や、各区長さんをはじめ地元の皆様のご協力のも と、地権者の許可を受けてから制作に入る、という形を取ってきまし た。場所が決まり、ルートを決め、案内板を立てて、展覧会の開催を迎 えるという工程を踏んで来ました。 今回展では「りんりんロード」という副題をつけ、北端は県道14号の 犬田交差点から雨引休憩所を経て、南は旧樺穂駅までの区間とし、り んりんロードの敷地内という制約のもと、現況のような展示となりま した。 思い返すと、この雨引の展覧会を立ち上げたのは1996年、その意図 したところは、画廊も美術館もない田園風景の広がるこの地で、我々 が作品を通して発表活動を続けていくことにより、桜川市の皆様をは じめここに育つ子供たちに、美術とか彫刻は自分たちが育った環境に は普通に風景の中にあるもので、特別なものではないという気持を もってほしいという願いから始まりました。 それから早いもので20年近い年月が経ち、そのころ生まれた子供たち も20歳近くなっています。願わくは彼らの中に何かが少しずつ芽生え てきていたらいいなと思っています。 最後になりましたが、ボランティアグループの撫子庵の皆様、今回 は参加いただけませんでしたがそば打ちの会の皆様にも、長年にわた り来客の食事や休憩所をご提供いただきありがとうございました。 また未来塾の皆様のご協力のもと、地元中学生たちへのアプローチ、 フォトコンテスト、ワークショップ等を企画していただきありがとう ございました。 今回はそのワークショップも兼ねて、作品に少しでも親しんでいた だけるよう各作家の作品の近くにフロッタージュ用のレリーフを用 意しました。作品鑑賞のみならず皆様でフロッタージュの作品を作っ て記念としていただければと考えた次第です。

    雨引の里と彫刻実行委員会 菅原二郎


  • 「雨引の里と彫刻」と私

     雨引の里と彫刻との出会いは約10年前、大学の先生から展覧会の案内状を頂き、友人の家族と共に見に行ったことから始まりました。自宅の川越から、川越街道、浦所、首都高、外環、そして、常磐自動車道、北関東自動車道を乗り継ぎ走りました。桜川市に入り、見慣れない場所ということもあってか、随分、遠くに来た印象を持ちました。展示場所に着き作品を見た後、その日は、オープニングパーティーがありました。公園の中の傾斜を歩き、とても広いスペースに到着し、作家の方々が作った気持ちのこもったバーべキュウを御馳走になって、とても美味しい楽しい思い出となりました。2回目は、友人と見て回りました。林の中や屋敷の中などを回りながら雨引の自然の中で落ち着いた気分になりました。3回目は家族と自家用車で回りました。子供が作品の間から頭を入れて遊んでいたのを憶えています。良い思い出になりました。見た彫刻作品は、自然を背景にスケールの大きさを感じ迫力のある作品ばかりで、しかも、その空間に違和感と自然さ両方を持ち合わせた作品で「彫刻とはこう在るべき」と考えさせられました。


     様々な方から雨引の彫刻は作家が主体で運営するという話を聞き、また、桜川市の自然の中で堂々とした作品の展示が魅力的で、この展覧会に参加してみたいと感じていました。約3年前、思いきって雨引に参加されている大学時の恩師にフィールドでの作品展示に挑戦してみたいと相談したところ、少々の時を経て、推薦して頂くことに到りました。

     今年の3月から出品者、実行委員会メンバーとして、月に一度の展示に関わる会議に参加させて頂きました。会議、初参加の日、住まいを引っ越したこともあり、車で東北自動車道に入り北関東自動車道に乗り変え、到着まで約3時間掛かりました。インターを降りて走っていると改めて石材屋が沢山あることに驚かされました。公民館に到着し二階の会議室に入ると、とても広く、ぐるりとテーブルが置かれ、みんなの顔が見えるよう座った中、作家同士に距離がありながらも、一体感と解放感が漂っておりました。会議中、たくさんの意見が出て、展覧会に向う熱い気持ちを感じました。実際の展示場所のりんりんロードをメンバー全員で歩いたり、草刈りをしたり、パンフレットやポスターの郵送準備をする機会もあり、みんなで創り上げていくことを実感しました。
     
     今回の展示場所は、以前鉄道が通っていた場所です。作品のプランを練るために、また作品搬入のために、何回か展示場所に行きました。地元の方に旧雨引駅や樺穂駅にまつわる昔話を聞きながら、在ったものが無くなることを考え、アポリアについて考えさせられました。他界した父、故郷で生活している母、妻、我が子など家族のことを想い、雨引の里と彫刻との出会いは、私にとってかけがえのない時と場になりました。雨引の里と彫刻に作品展示の機会を頂き、桜川市市長をはじめ、市役所、市民のみなさま、関わった全ての方に感謝しております。

      参加作家 岡孝博